Uruさんの『セレナーデ』を読みました。BOOKOFFで目にとまった本です。この本が発売されたときには、もう、今の職場で働いていたので、こういう本があったなと懐かしさ半分で手に取りました。ただ、本は、できるだけ新品で購入するようにしているので、BOOKOFFでは購入しませんでした。後日、楽天ブックスで注文して、届くのを楽しみに待っていました。三つの物語が収録された、短編集です。
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「しあわせの詩」の、着地のしかたには賛否両論あるだろうなと感じたけれど、私は好きでした。着地する前に、ある程度の、文章の長さがあったからこそ、私は、この結末を受け入れられたのだなと思っています。だから、この着地のしかたなら、ここまで書かなくてもよかったのでは、という考えはありません。限りある生について、前向きになれる、いい物語でした。
表題作の「セレナーデ」は、青春時代の感受性の豊かさが、登場人物を通して、びしばし突き刺さってくる物語でした。後半、登場人物の一人である、葵に感情移入してしまって、その、あまりのつらさに、駆け足で読んでしまったのが悔やまれます。もうちょっと丁寧に読めたらよかったです。私は、親が転勤族だったので、こういう幼馴染みの関係に憧れがあります。心から羨ましかったです。
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音楽には疎いので、Uruさんのことは知らなかったのですが、『セレナーデ』を読んで、収録されている物語の元になった、Uruさんの歌が気になっています。それだけ、私の心に、この物語が残ったということです。この、本から興味が広がる感覚を、これからも大切にしていきたいと思っています。